コンチワ、北ノ龍です。沖田と神楽のラブストーリー、二次小説です。

タイトルは:陶器でできた弱き獣
このタイトルを付けたのは、獣と言うのをよく神威に使われてるので、弱き獣とは神楽の事です。
そして陶器、割れ物という意味で、神楽の心を表してます。
それと、'陶器'は英語では'China'、そしてその言葉のもう一つの意味は'中国'=チャイナ娘。
夜兎は中国風だし、総悟にはよく「チャイナ娘」と神楽を呼ぶので、そこの意味をなんかダブってみました。

あらすじ:
(まず謝罪・・・→メインキャラのファンの方々、特に銀時や神威、すいません。第一話でこの人たち殺してしまいました。しかしその設定がないと僕の書いた沖神の話が進まないので、今回ばかりは勘弁して下さい。これからほかに出す二次小説や夢小説はこんな事は無いと約束致します・・・多分w)


~陶器でできた弱き獣~(長編)
銀魂二次小説-沖田x神楽

~陶器でできた弱き獣~
~2~『か弱い小動物』


屯所のどこかで携帯が鳴る。
それに出たのは低い声をした男だ。

「なんだ、総悟?イタデンなら切るぞ。」

鬼の副長、土方十四郎はすでに怒っている様子。
沖田総悟が電話してくると、いつもろくな事が無いのを知っているからだ。電話だけではない。あいつは土方に嫌がらせをする事しか頭に無いドSだって事も土方はよく知っている。

「土方さん・・・」
総悟の深刻な声が聞こえてくる。

「なんだ?」
新しいタバコを口に銜え、嫌々総悟の話に付き合う事にする。
土方はタバコに火をつけ、総悟の言葉を待つ。

「・・・万事屋の旦那達が・・・死にやした。」

「何の冗談だ、総悟?ぶった切られてーのか?」

引きつった笑顔で土方は苛立つ。
総悟のドSは加減というものを知らない。

「とにかくこっちに人を寄こして下せぇ。」
頼みますぜ、と言い場所を教え、 電話がすぐ切られる。

なんでい、バレてやしたかァ、とかいつものような発言を待っていた土方は、今だに総悟の言葉を信じられず、切られた携帯を見詰める。
しかし長年の付き合いで、総悟が今回ばかりは真面目だったのが分かる。
そう思うとすぐに副長命令を出し、総悟のところへ向かう準備をする。

―あの万事屋のヤロ-が死んだ? ありえねーだろ。
そう思いながらも自分の目で確かめるため、土方はパトカーに乗り込みエンジンをつける。

辺りには赤い光がちかちかと点滅し、現場に真選組の黒い制服が増えていく。現場に到着した皆は同じ反応を見せた。信じられない驚きの表情から悲しむ表情へと変わってゆく。

調査を進めるべく命令を出してた土方は、辺りを見回して、 総悟がいない事に気付く。が、その瞬間向こうの川の方から女を抱える総悟がこっちへと向かってくるのが見えた。

気を失ってる小柄なチャイナ娘を抱えてる総悟を真選組の皆が見詰めるが、何も言わない。
総悟も何も言わず、土方と目を合わせてから神楽を抱えたままパトカーに乗り込む。
土方は小さく頷き、運転席に乗って屯所まで運転する。
話す事は何もなかった。

泣き疲れた神楽は総悟のジャケットを軽く羽織り、総悟の膝の上で静かに眠っている。そんな小柄なチャイナ娘を土方は二、三度 チラッと目線を向けては、色んなシナリオを頭の中で膨らませていった。

無意識に総悟にしがみ付く彼女の白い手は小刻みに震えている。
瞑った目からは涙が流れている。
彼女が感じる恐怖と悲しさは眠りについても収まらないみたいだ。
神楽はそんな感情から逃げたいとばかり強く思っていた。

何もかもすべて放って・・・

―みんな・・・ごめんネ。でも苦しくてもう耐えられないアル。
もう、私のそばに誰もいないのは、悲しすぎるヨ・・・
私を・・・消えさせてほしいアル。
この感情と一緒に全部消え去りたいネ・・・
許して・・・

心配そうに神楽を抱える総悟の存在も知らず、神楽はそんな事を思っていた。
総悟は神楽がそんな事を思っているとは気付くはずもなく、彼女の存在がだんだん離れゆくのも感じ取れなかった。

朝の眩しい光が少女を照らす。
明るさで目を覚ました彼女は、幼い藍色の瞳で目の前にあるものをじっと見詰める。
そこには少しくしゃっとした茶色の髪が被さった柔らかい寝顔。
美しい長いまつげに 、少しだけ開いたきれいな唇。
しかしすぐに彼は目を覚まし、その寝顔は歪んだ。
そしていつの間にか藍色の瞳と紅い瞳が深く見つめ合っている。
沈黙の中見詰め合う事一分、茶髪の男が口を開く。

「・・・おはよー」

総悟はそう言い、神楽の様子を伺う。しかし返事はなく、反応すらない。

「・・・何でい。叫んで一発ぶん殴ったりでもするかと思えば・・・言葉すら返ってこねーや。」

総悟がそう言うと、神楽は総悟と同じ布団の中で横になっている事に気付いた。

「別になんもしてねーよ。昨日おめぇが俺を離さなかったからこうなっただけでい。」

言い訳ではない。事実だ。
必死に総悟をつかんでた神楽は、死んでも離さないようだったから仕方なく神楽を自分の布団に寝かせた。
総悟は隣りで布団の上で横になっていたが、いつの間にか寝てしまっていた。

しかし総悟が話しても神楽から反応はなく、それどころか、昨日の悲しみの欠片すら見えない。
起きたばかりでまだ昨日の事を思い出せないのかと思い、 見たくもない神楽の歪んだ泣き顔を待つべく総悟は目を瞑って歯を食いしばった。

だが長い間待っても何も聞こえず目を開くと、 総悟をキョトンと見ている神楽の様子が少し変だと気付く。
でもとにかく神楽は起きた事だしと、総悟は立ち上がった。

「ちょっと近藤さんにおめぇが目を覚ましたって言ってくらァ」

そう言い放って部屋を出てゆこうとすると、初めて神楽に変化が訪れた。
小さい変化だが、総悟にははっきりと見えた。
純粋な藍色の瞳が、総悟の遠ざかる姿を見て見開き、おどおどしている。

―こんなか弱い女、俺は知らねぇ・・・

目の前にいる彼女は、総悟の知らない誰かに見える。

―サディストモードにはなれねーし、無闇に気に触る事も言えねぇ。

―こんな女、どう接すれば良いか分かったもんじゃねーな・・・

―でもこの女、いったい何を考えているんでい?

『私にかまわない方がいいネ…』
『私が…怖いアルか?』

昨晩の彼女の声を思い出す。怯えた顔で聞いてきたその質問は、答えを恐れていた。
普段人の思ってる事なんてどうでもいい総悟は、何故かその時の神楽が何を思っているか勘付いた。

「・・・一緒に来るかい?」

総悟はそう聞いてみる。
すると、あれほどにうるさくドタバタしてた神楽が、足音も立てず静かに総悟の方へと急いで歩み寄る。
早くしなければ置いて行かれる気がしたかのように。

―やっぱり一人になるのが怖ぇんだな・・・

総悟が歩き始めると、神楽は総悟の二歩後ろで、影のようについていく。
ためしに廊下のど真中で足を止めると、すぐ二歩後ろで神楽も足を止める。
再び歩き出すと、遅れを取らずに神楽は動きを乱さずついてくる。
総悟 より少しばかり背の低い神楽が、背丈が腰あたりまでしかないほどの幼い子にしか思えてしかたなかった。

最後の角を曲がり、近藤さんの部屋へと足を進めると、そこに居たのはなにやら真剣な話をしている土方十四郎と近藤さんだった。

「おお、総悟。あの怪力娘の調子はどうだ?」

総悟の存在に気付き近藤さんが深刻な表情で聞く。

「っていうか、 総悟!お前あいつを一人にしてきたのか?」

土方が意外な発言をする。

―はぁ?土方さんの目はマヨネーズを固めたボールですかい?こんなやつが副長だなんて絶対に認めねーや!

質問に答えずただただ土方を見詰めている総悟に、近藤さんが口をまた開く。

「そうだぞ、総悟!ライバル関係である仲だったとはいえ、か弱い不安定な少女を一人にしてはならんぞ!」
そう説教させられ、総悟は目を丸くする。

「何言ってるんですかい、近藤さん?チャイナ娘ならここに―・・・」

―・・・あれ?

後ろを振り向けば二歩後ろに立っていたはずの彼女は一歩の距離さえ無くして、 総悟にくっつくように上着を両手で掴み、 彼の体で自分の身を隠していた。

これなら確かに近藤さんや土方には見えない。
両腕を上げると神楽の顔が少しはみ出て、彼女は慌てて総悟の背中に身を細めて隠れるが、男二人は彼女の姿を見逃さなかった。

「おお!えっと・・・名前なんだっけ?」

近藤さんが明るく話しかけようとするが途中で止まり、声を潜めて助けを求めるように土方へ顔を向けた。

「いや・・・俺は知りません・・・」

鬼の副長は低いハスキーな声でそう答えると、沖田のドSモードにスイッチが入った。

「近藤さんはともかく、土方さんの脳みそは本当にマヨネーズでできてるらしいや。女一人の名前すら覚えてねーなんて副長失格じゃあねーですかい。そう思いやせんか、近藤さん?」

「マヨネーズの脳みそだとぉぉ!?まぁ、確かにマヨネーズを崩せず立てに重ねると脳みそに見えねー事もねーが・・・ってふざけんな!なめてんのかコラ!?そういうてめーはどうなんだよ、総悟!」

青筋立てて喚く土方の隣では近藤さんが、
「「ともかく」?ともかくって何?俺ってそんなにどうでもいい存在なのー?主人公ほとんどいなくなった今でもどうでもいいキャラクター?」とめそめそしている。

そんな局長を無視して、土方と総悟は睨め合う。

「・・・・・・・・」

しばしの沈黙の後、総悟は腕を一つ上げ、隠れてる彼女に話す。

「このバカ二人におめぇの名前教えてやれィ」

「テメェも覚えてねーじゃねーか!」鬼になって怒る土方。

「あれ?」

総悟は思わず呟いた。
疲れたのか、彼女が総悟の足元でしゃがみ込んでいたのだ。

―体力の消耗が早いのか?

彼女は不思議そうに首を傾げて総悟を見上げる。

―何で首を傾げてんだ?

「おい、名前。」

もう一度問うが、答えは返ってこない。

・・・・・・・・

「おめぇ、自分の名前分かんねぇんじゃねーよな?」
小さくなっている彼女は、困った顔をする。
総悟のイヤな予感が当たった。

「・・・わかんねーのかい」
後ろであたふたしている近藤さんの声も耳に届かず、総悟は彼女の目線までしゃがむ。
総悟の強張った表情が少し和らぐ。

「おめぇの名前は神楽だ。」

普段は絶対に聞けない和らいだ声で総悟はそう彼女に教えた。

―知ってやがったのか・・・

土方はタバコを出して、吹かしながらそう思う。

「か・・・ぐら?」

キョトンとした顔で、神楽が小さな声でその名前を口にしてみる。

初めてその名前を口にしたかのような声に総悟は、彼女が何も覚えてない事を確信した。
今朝は鳥がさえずり、空が青く、とてもいい天気なのに、総悟にはそんなすがすがしい朝がとても歪んで見えた。

「・・・近藤さん、こいつ記憶喪失みたいでさァ。多分何も聞き出せないと思いやす。」

神楽の目を見詰めながら総悟は近藤さんに言う。

「あれほどの酷い出来事じゃありえねー話じゃねーだろ。」土方がそう呟く。

「いや、そんなんじゃねーんでさァ・・・」少し低めの声で総悟が独り言のように呟く。

総悟の呟きに顔を見合わせる土方と近藤さん、しかしそれ以上総悟は何も言わない。
目の前の小動物のような少女と見詰め合うだけだ。

総悟の放つ言葉が自分に向けられているか否かも分からず、いまだにキョトンとしている彼女を、総悟は柄にも無く悲しい目で見た。
彼女が記憶を封じ込めるほど自分を責めて、苦しんだ事を思うと、総悟の胸が痛んだ。
どれほどの辛さを抱えているかと思うと、人の気持ちなんて気にもかけた事の無い総悟は、初めて他の人のためを想い、悲しんだ。

しかし近藤さんと土方には背を向けてる総悟の表情が見えず、どんよりした空気を明るくしようとする。

「まあ、とりあえずその怪力む― あ、神楽ちゃんの面倒は総悟に頼んだからな!」と、張り切った声で明るく近藤が言う。

その発言に、バッと総悟が振り向く。

「え―――。」

総悟はダルそうな表情で反対の声を上げた。

「絶対にいやですぜ、近藤さん。何で俺が子守何かしなきゃなんねぇんですかい?」

―この女を守りてぇとは思ったけど・・・

「四六時中子守りなんて御免こうむりまさァ。」